それは嵐の前の静けさだった
商隊が訪れる頻度も減り、活気は徐々に失われている
防衛のために協定を結ぼうにも戦力の分散を避けるために戦力を出し惜しみしてくる可能性もある
未曾有の脅威に、小国たちは疑心暗鬼に陥っていた
そして嵐は突然やってくる
ここヴィランの街は比較的山脈寄りのため、まだ楽観視する市民が多数派である
各国に相互で援護しあう戦時同盟の締結を呼びかけていたが、反応は芳しくない
そこで自ら援護部隊を編成し、少数ずつながら各国へ派兵して同盟への本気の姿勢を示そうとするのだが、安全な場所から派兵している割には援護部隊の数が少ないと批判する国や、今同盟を主導しておいて平定後の各国への影響力をあげようとしているのかと勘繰る国など、各国の反応は冷たいものだった
何としても未曾有の脅威に対抗しようと様々な策を打つヴィラン王
すべての援護部隊を各国に送り出した頃、最悪の知らせが届く
海沿いの国であるオッペン、そして山脈寄りであるためヴィラン国と同様に安全かと思われていたオランが魔物によって壊滅的な被害を受けたというのだ
それはすでにヴィランすら安全ではないという事実であり、存在すら疑っていた魔物が実際に被害をもたらしたという現実である
現在残存戦力はわずか。いつどこから魔物が攻めてくるかもしれない恐怖
いつしかヴィラン国はヒーローの存在を、そして助けを心から願うようになっていた
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