西のオッペンと近隣のオランがほぼ壊滅し、隣国のパラッチにも魔物が侵攻している
自国の周辺にもちらほらと魔物の目撃情報が上がるようになってきた
ヴィラン王は高潔な人物である
西側諸国の平和、ひいては大陸全土の平和を心から望んでいる
同盟の締結を働きかけていたのも、自国からほとんどの戦力を近隣諸国に派兵したのも、すべて心から平和を望むが故だった
しかし、そんな高潔な魂を天は見捨てた
王も国民も、大天使ミントの加護とヒーローの救援を心から待ち望んでいたのに
ヴィランが数千の魔物に蹂躙されている間、一片の希望も持つことができなかった
それは圧倒的な戦力差、死すら恐れぬ狂気の暴走、殺意という本能である
魔物の軍勢を目の当たりにした瞬間からヒーローへの助けを口にする暇もなく、ほぼ壊滅状態となった
人々は呪った
相互防衛が成立していれば、もう少しましだったかもしれない。そんなことはないとわかっている
王国が大陸全土を守護するべきだった。王国だけでは大陸全土は守りきれないことも知っている
大天使ミントの加護はどうなっているのか?所詮御伽噺だったと自嘲する
ヒーローはなぜ助けてくれないのか?なぜ、なぜ、なぜ
いずれ西側は完全に魔物によって壊滅させられるだろう
何をどうすればいいのかもわからないまま、ヴィランという街は跡形もなく破壊された
Xヒーローズが大陸の魔物と戦い退ける頃には、西の小国群には復興を始める気力は残っていなかった
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