9.帝国⑥

ヴィリスの狙いはただがむしゃらに領土を拡大することではなかった

王国への留学で政治学や帝王学を学び、貪欲に知識や経験を吸収してきたヴィリスには、領土がただ広ければいいという考えは浅はかに思えた


王国留学の終盤、主に大神樹ミントと創生神話についての知識を狂ったように吸収していたヴィリスは、西側に伝わる大神樹ジェノラの神話との共通点に気づいた

Xヒーローズの誕生を間近で見ていたヴィリスは異形の姿でジェネラティばれ、発狂して捕獲される者、その場で殺される者、逃走する者、その場で燃え尽きる者の存在を知っている

ミントの儀や大神樹について数々の資料を漁り初代ヒーロー誕生とXヒーローズの相違点を検討した結果、ヒーローの誕生についてひとつの仮説を立てた


ヒーローとなるにはミントの儀の成否に正義の心は影響せず、別の要素が関係している…


そうなるとまず必要になるのは大神樹の確保である

オランとパラッチはその立地に反して特に酷い被害を受けており、その理由も解っていない

ヴィリスは大神樹の存在を原因と仮定し、早急に2国の吸収を進めた

被害の酷かった2国はヴィリスの差し伸べた手に前のめりに縋り、早々に帝国の領土へと下った


大神樹と西側の神話についての資料を早い段階で手に入れたヴィリスは、上機嫌に他国の吸収と軍備の増強とともに、国家プロジェクトとしてミントの儀の再現を進めていくのであった


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