12.ドラゴマン③

俺たちが聞いていた話では、ミントの儀には大神樹ミントの葉をすり潰したものが必要だが、かなり貴重なものであるらしかった

候補隊にいるだけでも数百人はいる

そんな貴重なものが人数分あるのだろうか?しかも今回は伝説の災害時とは違い、広いと言われるこの大陸全土で発生している事象だ

本来なら数百でも伝説のヒーロー達と同じ1000人でも、おそらく足りないだろう

ということは一般の市民たちからも広く募るのであろうか?


そう疑問に思っていると、神殿から状況の説明に来たという神官が大きな声で説明を始めた

正直声のデカさだけならうちの教官にも負けていない うるさいなこいつ


神官の説明はこうだ

伝説の時代から、王国ではミントの儀についての研究は進められていた

ミントの葉を直接使用するとどうしても数が限られてしまうのだが、研究の結果、必要な成分を抽出し、培養することで葉1枚に対してジェネラティべる人数を飛躍的に増やすことに成功している

実験段階ではあるが、すでに実用的な試験結果を得ているので安心して儀式を受けてほしい

ミントの儀で重要な項目がもうひとつある

正義の心だ

正義の心は他者から与えることはできない


大声でがなる神官の声に顔をしかめながら耳を向けていると、同僚であるガイが苦笑しながら小声で話しかけてきた

「葉っぱでやる儀式は利権でどろどろらしい。今やろうとしてもどうしてか上手くいかないんだってな」

その話は俺も聞いたことがある

大天使ミントの声を聞き、初めてのミントの儀を執り行った伝説の神官エンジーニャ

彼が没してから今までミントの儀が行われてこなかったのは技術的な問題があるせいで、現代では再現不可能と言われているらしい


候補隊に入ってから聞いた話だったので、このまま候補で一生を終えるのかもと背筋を凍らせたものだったが、なるほど代案を研究してきたってわけだったんだな


入隊時には一切持ち合わせていなかた正義の心については、候補隊としての生活の中で、手の届く範囲くらいは守りたいという気持ちが芽生えたことでクリアできると思っている

ミシェルが守る守るとずっとうるさかったので、もしかするとその影響を受けてしまったのかもしれない


そうだとしたら少し癪ではあるが、不思議と悪い気はしていなかった


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