リリアはミントエーテルを飲み干すと、神官の呪文と祭壇の光の中で自ら光を放ち始める
それは今まで見たこともないような慈しみと美しさを備えた荘厳な姿だった
リリアを包んでいた眩い光が彼女の体の中に吸収されていくと、ヒーローとなった彼女の姿をはっきり見ることができた
間違いなく強い
これなら多くの人々を守れるだろう
遠い祭壇の上からこちらを一瞥すると、彼女は西側へと早速旅立っていった
俺を信じて先にいくということらしい
たぶん彼女がこちらを見たのは早く追いつけよ、というような意味だろう
負けるのが嫌いな俺は不敵な笑みを浮かべ、自分の順番が来るのをそわそわしながら待っていた
儀式を見ていると、リリアのように即時ヒーローとなる者もいれば、光が収束しても姿が変わらない者、その場でうずくまり神官達の補助で退去させられる者、そして光すら発せず何も変化のない者がいるようだ
これを分けるのが、正義の心ってやつか
若干の緊張を抑えつけ、自分の中の正義の心とやらを奮い立たせる
おそらく発光が正義の心、収束後の変化は肉体的な強さが関係しているのだろう
今まさに光が収束したガイもヒーローとして行動を始めていたようだ
彼の強さは相当なものなので、俺の仮説はたぶん当たっている
ということはガイや他にすでにヒーローとなっている奴らよりも強い俺もすぐにヒーロー化してリリアを追うことができるだろう
そして、ついに俺の番がやってきた
壇上に上がり、所定の位置につく
祭壇の光が全身を薄ぼんやりと照らしていて、それで少しだけ暖かく感じる
神官が祝詞を読み上げている間、少しだけ気分が高揚してきたおかげで先ほどまでの緊張は今は感じない
そして運ばれてきたミントエーテルを手に取り、一気に飲み干した
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