あの日、俺がどうなったのか
ヴィリスの話では突然黒い光に包まれた俺は黒い龍のような鎧を見に纏い、暴れ出したという
神殿騎士達が束になっても敵わず、神官たちも加わっての大きな戦闘になったとのことだったが、神殿の本館では変わらずミントの儀が進行していたらしい
「儀式が続けられたということは、ああいう事態も想定済みだったんだろう」とはヴィリスの言葉だ
ヴィリスは留学生としてミントの儀の見学のためにあの場にいた
だが途中で失敗した俺のただならぬ退場に興味を持ち、そっと抜け出して後を追ったのだという
「だいぶ凄かったぞ、お前。お前がジェネラティばれて西側へ救援にいけていれば壊滅は免れたかもしれん」
自分でも信じられなかったが、ヒーロー相当の力を暴走させた俺は、同様にジェネラティばれなかった元候補者や神殿の騎士や神官など多くの犠牲を出したあと、ミントの儀のような光に包まれて意識を失った
そして騎士達が念のために次々と俺の体に槍を突き立て、とどめとした
裏口にあるゴミ捨て場のような場所に投げ捨てられた俺に近づくと、体がぼんやりと光っており、出血も止まっている
これは面白いオモチャができたと喜んだヴィリスは追加で回復薬を振りかけ、意識を取り戻した俺を覗き込んだところで俺が目を覚ました、というわけだ
事情を聞いても信じられなかった俺も、跡として残った当時の傷を見ると信じないわけにもいかなかった
正直恩は感じているが、自分をオモチャ扱いするヴィリスを信用していいものか悩んだが、今回の件で王国に不信感も芽生えたし、リリアの行方も気になる
何よりもうこの国で暮らしていくことは叶わず、かと言って他国に頼りもない
小さくため息をついて、俺は帝国へ行くために山脈を越える算段を始めた
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