引き連れてきた仲間は子供たちを除いて6人
一人は首を吹っ飛ばされ、居残った仲間達で形を残しているのは2人分
生きてるのかどうかはここからでは判断できない
ドラゴマンはというと、あまりの衝撃で起き上がることすらできずにいた
虎のような体毛に包まれた元少女と、岩の人形はドラゴマンを吹っ飛ばしたあと楽しそうによろしくやっている
岩人形が虎娘を吹っ飛ばすと、炎で追撃する
虎娘も負けじと食らいつき、岩石の表面を打撃で削る
一進一退、互角のようにも見えるが、体が未成熟な分虎娘はキツそうだ
決着がつく前になんとかしないといけない
どちらも殺すわけにはいかない
ドラゴマンは這いつくばって馬車のあった場所に転がった荷物のところへ急いだ
あれを使えば、もしかしたら…
ドラゴマンが荷物へたどり着いた頃、体表がヒビだらけの岩人形が横薙ぎにした腕が虎娘を捉えた
体力の限界だったのか、ガードもとれないまま大木に叩きつけられ、動かなくなった
岩人形は無表情に周囲を見渡し、動く者がいなくなったことを確認すると、ゆっくりと踵を返す
「待ちやがれ…」
岩人形を森に返すわけにはいかないが、立ち上がることができない
無感情にゆっくり遠ざかっていく岩人形の背中が、突如爆発した
「ナメてんじゃ…ねえぞ…」
仲間の魔法使いが爆裂魔法を岩人形の背中に叩き込み、奴は前のめりに倒れ込んだ
「終わった…?」
どれくらい時間が経っただろうか?
傾いた陽が山の影に隠れゆく
夜が来る前にこの状況から脱さねばならない
大の字に倒れ込んでいたドラゴマンは、力を振り絞って上体を起こし、よたよたと岩人形に歩み寄った
岩人形を倒した魔法使いともう一人、生き残った仲間が起き上がってきた
「7人が3人か…随分やられたな…」
互いに顔を見合わせながら、短く笑う
そして示し合わせたように3人で協力して岩人形をひっくり返すと、改めて顔を覗き込んだ
「こいつは…」
肖像画で見たことがある。王家指定の石工職人だろう
第一次魔獣災害の折に被害を受けた城下の街並みを修繕し、王城を補強するために特別な石材を採取しするため街を出た
その後戻ることはなく、王城の補強は家の者が跡を継いで進めた
行方不明になった大昔の石工は、森で呪いを受け化け物になって今まで生きてきたのだ
元人間なら想定通りこれが効果を発するかもしれない
ドラゴマンは石工の口に、ミントエーテルを流し込んだ
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