「あァ…ジェネライトが…悲しんでる…泣いてるようだよ…」
恍惚とした表情で幼馴染に似たそいつが呟く
ドラゴマンは薄れゆく意識の中で、自分を貫いたその剣に触れた
ーーードクン
ジェネライトの拍動で全身が一度跳ねる
ーーードクン
無意識に剣を握る奴の右手を掴む
ーーードクン
「さっきの話だがよ…ヒーローがあいつを殺したんだな?」
こぼれ落ちていったはずの生命力が戻ってくるのを感じる
「お前はあいつを食ったと言ったな?」
崩れかけた膝にもう一度力を込め直す
「答えろ!!!!!」
叫ぶと同時にジェネライトの光が溢れ出し、2人を包む
光に飲まれる直前、奴の顔は嬉しそうに歪んでいた
光がドラゴマンの体に収束していくと、右腕を失った奴が数歩後ずさった
その右腕を掴んで、立ち上がる
「あはァ…素晴らしいィィねぇ…彼女のジェネライトにも光が…」
「あいつのことをお前が語るんじゃねえよ」
言葉を遮り斬りかかる。その斬撃は確かに奴を捉えた…はずだった
「人が話している時に邪魔しちゃいけないんだぞ?ママに怒られなかったの?」
不機嫌そうな声が上から降ってくる
いつのまにか生えた白い翼を大きく広げ、空に逃げていたらしい
「でもまあいいよ、許してあげる」
今度は満足そうに頷き、くるりと背中を向ける。逃げる気だろう
「待…っ」
ドラゴマンが呼び止めようと口を開くと、光の柱が上から降ってきて中断させられる
光の攻撃魔法だ
「さっきのお返しだよーっ人にされて嫌なことはしちゃだめなんだよーっ」
多段ダメージに耐えていると、奴の声が遠ざかっていく
これだけの魔法を瞬時に放ち、同時に逃走に移れるとは…
「化け物め…」
光の柱が消え、あとにはぼろぼろのドラゴマンと、彼女の愛刀だけが残った
自分の剣を拾い、2本とも腰に収めて立ち上がる
「ヒーローズとあの化け物は、絶対に殺す」
震えるほど強く握りしめた拳からは、血がしたたり落ちていた
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